逆境に負けないタイの元奨学生

2015年から2020年まで中学校・高校と奨学金支援を受けていたパーナット・クラーイクップカム君(通称ナット)。2021年3月に高校を卒業し、現在の様子を教えてくれました。

お母さんの仕事のお手伝いをしている、奨学金を受ける前のナット


ナットはウドンタニ州出身の現在18歳で、2015年に初めて奨学金を受け取りました。家は貧しく、ナットは当時学校から帰ると毎日もち米を蒸すための道具を編む両親の手伝いをしていました。その頃は勉強を続けられるとは思ってもみませんでしたが、奨学金の支援を受け中学校・高校に進学し、高校では成績を4点満点中3.41点の高得点で卒業しました。

高校を卒業後、ナットは農業系の大学への進学を望んでいましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大し家族の生活が苦境に立たされたため、その夢を一時中断し就職することに決めました。今は家族のためにサムットプラカーン州のインテリア会社で働いています。

高校の卒業式の写真

「高校を卒業し、僕は初めて『正社員』という立場で仕事をしています。以前も家族への仕送りや自分の勉強や学校の活動参加費を稼ぐためにサトウキビの収穫などを行っていましたが、すべて日雇いの仕事でした。」と話してくれました。また、自分の夢については「高校1年生の時は、個人的に興味のあった経理の仕事について学びたいと思っていましたが、その後、より実用的な農業など技術系の勉強をする方がいいかなと考えなおしました。しかし、昨年から新型コロナウイルスの影響で両親の仕事が以前よりも減り、生活が苦しくなったため、勉強や進学は中断し、両親に仕送りするために働くことを決意しました。今は、しっかりと自分自身を見つめなおし、家族のために働こうと思っています。勉強に関しては、仕事後の夜間コースや休日のみのコースで続けられれば将来のために役に立つかもしれません。農業技術を学ぶ機会があれば勉強し、将来は故郷へ戻りその知識を活かし、村の発展のためにビジネスを展開したいと思っています。」と語ります。

ナットは奨学金の重要性も語りました。「僕は中学1年生から高校3年生まで6年間ずっと奨学金の支援を受けていました。また、同時に学校の奨学金支援も受けていました。こうした支援をしてくださった皆様には心より感謝しています。奨学金のおかげで、金銭的な問題による就学についての不安もなく安心して勉強を続けることができました。また、奨学金は家族の経済的な負担も和らげてくれました。6年間、奨学金のおかげで学費の心配をすることなく過ごせましたので、その間家族の手伝いやアルバイトなどにより、高校を卒業するときには4,000バーツ(約13,000円)の貯金がありました。このお金は、就職先であるサムットプラカーン州への交通費など、社会人生活の準備金として大切に使いました。」

現在の様子

「今の仕事も新型コロナウイルスの影響を受けています。本来は家具の注文を受けてそれを配達、設置するまでが一連の仕事の流れとなりますが、移動の制限により注文を受けても配達に行けない日もありました。給料は日給制なので、配達や設置作業がない、仕事のない日は給料がゼロという時もあります。早く事態が収束し、こうした状況が改善されることを願っています。」
「私たちは、誰もが生まれてくる環境を選ぶことはできません。財産や家計の状況もみんなそれぞれ違います。けれど、私たちは自分たちが望む環境を自分の手で作り上げていくことができます。そして、自分の目標に向かって力強く努力し続けることができます。」

貧困に負けず勉強を続けることを望んだナット。今、新型コロナウイルス感染拡大による影響を受け、新たな困難に立ち向かいながらもあせらず、あきらめずに自分ができることを続けています。民際センターではこれからも、ナットのような貧困を理由に勉強を続けたくてもあきらめざるを得ない子どもたちへの支援を続けます。

 

「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。

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逆境に負けないタイの元奨学生” への1件のフィードバック

  1. ナットさんの事は以前「ダルニー通信」か「ダルニーフォーラム」で紹介されていたので印象に残っております。
    もち米(カウニヤオ)を蒸すための網は、イサーンに住む私にとってなじみのある台所用品です。
    金物店や市場などで売られている網の値段を知っていれば、それを作っている人に入るお金がいかに少ないかという事をしみじみと感じます。

    支援している学生さんのお住まいに何回か訪問させて頂いた事がありますが、親が内職をしているという例はとても多く見られます。
    わずかな収入、つつましい生活、それが当たり前という環境で勉学に勤しむ姿はとても感動します。

    ナットさんが網づくりを手伝っていたという記事を読んでいたので、無事に高校を卒業して就職できたという事をとても嬉しく思います。
    苦しい環境の中で努力して夢や目標に立ち向かう姿は美しく、私自身も見習わなければならないと痛感致します。
    私も子供の頃に親の手伝いをしていましたが、生活のためではなくお小遣い欲しさでした。
    お恥ずかしい限りです。

    こういう学生さんの支援ができるという事はとても嬉しく、意義のある事だと思っております。
    ナットさんの歩む先に明るい未来が待っているといいですね。
    それを願って止みません。

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