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11月 2019

カンボジアとラオスの子どもたちに読書の習慣を(子どもたちに本を贈ろうキャンペーン)

民際センターが支援しているラオスとカンボジアでは、子ども向けの本が不足しています。特に田舎では読む本が教科書だけという子どもたちも少なくありません。そのような状況を受けて、民際センターでは、11月を「子どもたちに本を贈ろうキャンペーン月間」として、子どもたちに少しでも本に触れる機会が増える様に皆様に「図書プロジェクト」へのご寄付のお願いをしています。民際センターの「図書プロジェクト」は日本の本を贈るのではなく、皆様からの寄付により現地にて、現地の言葉やその国に昔から伝わる物語、教育に必要な知識を培う本を、その国の現地職員が選び、子どもたちに提供しています。

カンボジアの中学校における就学率は42%です(出典:外務省データ)。都市部に比べて学校の数が少ない地方ではその数字はさらに低くなります。学校へ行くことすらままならない現状の中で、民際センターの支援するコンポンチュナン、カンポット、タケオ、ポーサット、コンポンスプー等の県では、慢性的に本が不足しています。さらに大人たちには、読書や本を読むことを楽しむ習慣がないため、子どもたちも本に触れる機会が少ないのです。

子どもたちの世代から読書の習慣を根付かせたいと考えるカンボジア事務所の所長チャンディーがカンボジアの地方における取り組みを報告してくれました。

図書プロジェクトは、1セット35,000円

「創造力」というプレゼントを子どもたちに贈ります

図書プロジェクトについて
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学校の図書室は、身近な情報源の宝庫。つまり、子どもたちそしてその地域に住む人たちにとって、身近に本を借り、閲覧ができる欠かせない場所です。本は知識の泉で、私は、常々本を読むことは脳に栄養を補給することのようだと思っています。ある事柄を熟考し、別の観点から物事を考え、新しい考えを得る等、私たちを創造的にしてくれるでしょう。

カンボジアでは、中央や地方官庁から学校の図書室への支援がないため、各学校の校長が図書室を運営しなければなりません。金銭的な援助がない中での図書室の運営は決して簡単ではありません。通常、学校に図書室がない中、職員室や事務室の一画に本を置く場所を作りますが、実際は予算上の問題や先生自身が他の業務に忙殺されることが多いため、本を補充したり、順序良く本を並べたりすることはできていません。そのため、本の補充やスペース確保等の図書室の充実をはかるため、校長先生方は非政府組織の助けを借ります。

本が積まれた事務所1

本が積まれた事務所2

カンボジアの教育統計(2018年度)によると、全国に幼稚園が4,301、小学校が7,228、中学校が1,771あります。その中で、4,126の学校には図書室があります。残りの学校は図書室がなく、多くの場合、職員室の隅に本を置き、新しい本の補充もなく本は慢性的に不足しています。この傾向は地方に行けば行くほど顕著になります。

民際センター・カンボジア事務所が図書を支援している県には2,543の学校がありますがその中で図書室がある学校は433校です。そのほとんどでは、本は少なく、子どもたちが喜んで本を手にするためそれらの本はすでに古く傷んでいる学校もあります。

寄贈された本を読む子どもたち

寄贈された本を手にとる子どもたち

その様な状況を受けて、民際センター・カンボジア事務所では、読書の習慣や文化を地域に根付かせるため、小・中学校に本を配る活動をしています。それらの本は、歴史、文化、伝統、道徳に関する幅広い分野におよび、形態としては、小説、哲学書、辞書、教科書(文法、法律、科学、地理等)があります。

小学校へ提供される本の中の一冊「人さらい」を紹介します。この本はクメール語(カンボジアの公用語)で「ブロマット・ボロモング」と言います。その昔、カンボジアの地方では子どもの内臓(胆のう)を神にささげる神事がありました。子どもの、特に男の子の胆のうからは良い薬ができると言われていたのです。今ではその話は、迷信ということを皆がわかっていますが、この話から親や社会は子どもたちに親の許しを得ずに遠くに遊びに行かない様に諭しています。「時間になっても帰らないと人さらいが来て胆のうをとられてしまうよ」と。

「人さらい」の表紙

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次に、民際センター・ラオス事務所の図書担当者が、学校に本を配る業務と自分たちが子どもたちのために選んだ本について報告します。その報告を聞き、私たち職員も、図書セットをラオスの地方に届ける際の苦労や、子ども向けの本についてあらためて知ることができました。特に図書セットに含まれるラオスの物語はその風土と優しい国民性がうかがえるような温かい内容でした。

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ラオスの特に地方に本を配ることは困難を伴います。ラオスには50の少数民族が存在し、人口の半数近くがその少数民族からなることが知られていますが、その多くは、タイ、ラオス、ベトナムやカンボジアとの国境の山岳地帯に住んでいて、民際センター・ラオス事務所があるビエンチャンから遠方であったり、道が整備されていない等その地域に本を配ることは決して簡単ではありません。

教室で本を読む子どもたち

寄贈された本箱を囲んで

山岳地帯に住む子どもたちは、身の回りに本がないため日ごろ本に触れることが少なく本を見せると目を輝かせて喜びます。きっと本は子どもたちを未知の世界へいざなうのでしょう。また、本を読みその知識を子どもたち同士や先生と共有することで皆のコミュニケーションが広がります。

外で本を読む

先生に本の説明を受ける

以前に図書の寄贈を受けた学校では、生徒たちが本を読むことにより本に書かれていた科学、環境に興味を持ち一生懸命勉強をするようになりました。

民際センターの「図書プロジェクト」では、現地の職員が子どもたちに適切な本を選んで寄贈しますが、その中の一部を紹介します。このような物語を読んで子どもたちは、正義や道徳心を身に付けます。

鷹とカラス

ある日、カラスが木の枝から周りを見回していると鷹が小さな羊を捕まえて空へと飛んで行きました。そこでカラスは、「きっと私も鷹のように羊を捕まえることができるだろう」と思いました。次の日、カラスは、羊飼いが町へ行っていない時を見計らって羊を捕まえようとしました。でも、羊の毛を少しむしり取ることしかできませんでした。その羊毛が羽についているカラスを見た羊飼いの息子が父親に聞きました。「なぜ、あのカラスは自分の羽に羊の毛をつけているの?」と。父親は「カラスは、鷹が羊を捕まえているのを見て自分も同じことができると思ったんだ。他人ができることをすべて自分ができるわけじゃないんだよ」と言いました。

 

カエルと蛇昔、森に大きな蛇がいました。その近くには池があり、カエルが、それはそれはたくさんいました。蛇は、日ごろから何とかしてその池のカエルを食べたいと思っていましたが池の近くまで行くと池の中心まで逃げてしまい、なかなかカエルを捕まえることができませんでした。考えあぐねた蛇は、ある日、池のほとりで死んだふりをして様子をうかがっていると、小さいカエルが寄ってきて「なぜ、こんなところで寝ているのですか?」と聞きました。そこで、蛇は「とても疲れたんだ。ここ2週間の間、何も食べてないしね」と。そこでかわいそうに思ったその小さいカエルは、カエルの親分のところに弱った蛇のことを話しました。すると親分のカエルは、のどが渇いている蛇をかわいそうに思い、自分たちの住む池の水を飲むよう勧めました。そして、自分の子分のカエルたちに、「これから、蛇が水を飲みに池に入るからね」と言い、すべてのカエルがその話を信じました。その後、蛇は池に入り、まずは小さいカエル、その次に大きいカエルを次々に食べました。最後に親分のカエルも食べてしまい、その池にはカエルはいなくなってしまいました。

小さな汚い猫

ある村に猫の家族が住んでいました。母猫はいつも子猫たちに「ご飯を食べる前にはきちんと手を洗うのよ」と言っていました。ご飯が食べ終わった後には、「お皿、フォーク、スプーンを洗って並べるのよ」とも言いました。寝る前には「歯を磨いて、お風呂に入りなさい」と言い、子猫たちは母猫の言うことを守っていました。ですが、ある夜、母猫が用事で出かけていて、何も言われない子猫はみんな、ベッドの上でご飯を食べ、テレビを夜遅くまで見、食器類は、あたりに散らかしたままでした。朝、戻ってきた母猫が部屋を見ると部屋は大変散らかっていて、一匹の子猫は「ママ、ママ・・おなかが痛いよぉ」、そしてもう一匹は「手を虫にかまれた」と泣いていました。母猫は、一匹の子猫に「ご飯を食べる前に手を洗わなかったから、お腹を壊したのね」と言い、もう一匹の子には、「辺りを汚くしていたから、虫が来たのよ」と教えてあげました。それ以来、子猫たちはご飯を食べる前は手を洗い、食事の後は、食器を片付け部屋をきれいにするようになり、お腹を痛くしたり、虫にかまれることもなくなりました。

ラオスでは、本が慢性的に不足しています。2019年に行った調査では、カムアン県では87、サワナケート県では126、サラワーン県では101、セコーン県では76の学校が図書箱を必要としています。また、一度ご寄付があった学校でも、本が傷んで読める状態にはない場合もあります。是非皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。

 

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