【カンボジア】家庭訪問で見えた現実と夢
いつもご支援いただきありがとうございます。民際センター理事長の神田です。
5月上旬、私はカンボジアを訪問し、2025年度の奨学金候補生たちの家庭を一軒一軒訪ねてきました。開発が進む首都プノンペン近郊の都市部から車で約1時間半。農村地域では、電気も通っておらず、住居も傷んだ環境の中で生活する子どもたちが、日々大きな困難を抱えながら暮らしています。しかし、そんな過酷な状況にあっても、子どもたちの目は純粋な輝きに満ち、学びへの意欲は非常に高く、自分の将来の夢を力強く語ってくれました。こうした子どもたちに、少しでも多くの「学ぶ機会」を届けたい—。今回の家庭訪問を通じて、私たちのダルニー奨学金やHOPE奨学金の意義と、その必要性を改めて痛感しました。中学校への進学を控え、奨学金を待ち望む小学6年生の子どもたちの声をご紹介します。
チョーン・レカナさん
母親と二人暮らし。父親は家を出て離婚しています。畑で採れるトウモロコシを販売して得られる収入は、年間で200ドルにも満たず、生活は非常に厳しい状況です。奨学金がなければ学校に通うことはできません。
ヴォーン・チェトラくん
2年前に父親と死別し、母親と2人で生活しています。元気いっぱいで、質問にもはきはきと答えてくれました。「将来は軍人になって、お母さんの命と国を守りたい」と目を輝かせて話してくれました。
エン・ヴァンチャイくん
病気がちで学校を休む日も多く、成績はあまりよくありませんが、それでも学校が大好きだそうです。「将来は電気技師になりたい」と語ってくれました。5人兄弟で、生活は非常に苦しいため、長男はお寺に出家しています。父親は漁師ですが、収入は不安定でわずか。奨学金を強く必要としています。
チョーン・ナリン・ロサセカさん
背が高く元気な子ですが、3年前に自宅のガス爆発事故で父親を亡くしました。母親は工場勤務で、叔母と一緒に面談を行いました。親戚の警察官に憧れ、「女性警察官になって市民の安全を守りたい」と話してくれました。話すうちに、自身の境遇を思い出したのか、感極まり涙を流す場面もありました。
民際センターは未来を担う子どもたちに、1人でも多くダルニー奨学金を通して学ぶ機会を提供し、子どもたちがよりよい社会を、国を築いていけるように応援していきたいと日々思い活動しています。そして、それには皆様のご協力が不可欠です。現在、この秋に新学期を迎えるカンボジア・ラオス・ベトナムのダルニー奨学金を特に募集しています。現時点では、残念ながら奨学金を必要とする生徒の全てに奨学金を提供できそうにはありません。物価の高騰や社会情勢不安等もあり、皆様⽅ご⾃⾝も直⾯されているご苦労を拝察いたしますが、今一度ご支援をご検討いただければ幸いです。
この支援は貧困削減に貢献できるだけではなく、国を越えて一人の子どもと関わっていく中で、相互理解と平和構築をもたらすものだと思います。各国の事業所職員、日本の民際センターの職員一同、皆様からの尊いご支援を大切に現地の子どもたちに届けさせていただきます。是⾮とも皆様からの温かい⼿を差し伸べていただきたく、何卒ご⽀援ご検討の程よろしくお願い申し上げます。