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10月 2021

各国最新レポート:【Vol.3:カンボジア】失業者の増加が教育を困難に

メコン5ヵ国の新型コロナウイルスの状況と、それに伴い変動している教育の状況について、5回のシリーズでお届けしています。

第3回目は、カンボジアの事業所所長のチャンディーから、カンボジアの最新情報をお届けします。状況は刻一刻と変わっていますので、あくまでも現時点での情報になりますが、支援されている奨学生がいらっしゃる方は想いを馳せながら読んでいただければと思います。

【これまでのコロナの状況】

2020年1月、観光地のシアヌークビルで海外からの渡航者にまず感染が確認され、濃厚接触者への感染が報告されましたが、市中感染は起こらず死者も出ませんでした。しかし、ワクチン接種を開始した2021年2月に第2波が起こりました。市場や寺院など公共の場でも広がり、4月から5月にかけてプノンペン市内とカンボジア中南部カンダル州の州都タクマウで初めてロックダウンが実施され、移動が制限されました。感染リスクの高い地域から順に、赤・オレンジ・黄色の地域に分類され、赤とオレンジの地域は厳重に封鎖されました。 

7月下旬、隣国のタイでコロナが流行し、タイに出稼ぎに出ていたカンボジア人労働者が大勢帰国することになり、これによる感染拡大を防ぐために、カンボジアとタイの国境沿いにある8つの州を一時的に封鎖しました。

10月4日現在、総感染者数は113,000人、死亡者数2,406人となっています。(参照:JHU CSSE COVID-19 Data)

【経済への影響】

カンボジアの農業従事者は約300万人で全国の労働者の3分の2を占め、カンボジア経済において農業は非常に重要な産業の一つとなっています。しかし、依然として灌漑システムや技術力の不足があり、収入は不安定です。農村地域に住む人の多くは、小作人でその収入だけでは家族を養うことができず、運送業や建設業、衣料品工場などでも働いています。家族を養うため、子どもの教育費のためにタイに出稼ぎに出る親も多いです。しかし今回のコロナの感染拡大により国境閉鎖や地域的なロックダウンが行われ、仕事を失い経済的な問題に直面し負債を負う人も多くなっています。

また、多くの企業にも経済的な影響が出ています。従業員の解雇を行わざるを得ない企業、操業停止を余儀なくされる企業もあり、多くのカンボジア人が現在職を失っています。2020年には約129の工場が閉鎖され、約7万人の雇用が失われました。一方で、112の会社が設立され約2万人の雇用は生まれましたが、仕事を失い困窮している人がまだまだ大勢いる状況です。これは副収入を得るために仕事を探している小作人にとっても大きな問題となっています。

【教育への影響】

コロナの影響で、2020年5月に全ての教育機関が閉鎖され、300万人以上の生徒と約28万人の大学生が学校に通うことができなくなり、これまで立て直してきた教育の成果が消えてしまうのではと危惧されています。教育省は、2020年8月に私立学校、9月に中程度の安全基準の公立学校、10月に大学、11月に全ての学校の再開を許可しました。学校では教室で授業を受ける人数を制限し、手洗い場、石鹸、体温計、アルコールなどの感染防止対策グッズを設置しました。 

2021年3月、プノンペンなど都市部で第2波が確認され、全ての教育機関が再び閉鎖されました。農村部でも感染者が出たため、感染拡大防止対策として人々が集まる活動が制限されました。

2020年から教育青少年スポーツ省がオンライン教育プログラムを開始しましたが、農村部の生徒の多くは、パソコンやインターネット環境がなく、テレビやスマートフォンもないため、このプログラムに参加するのは難しい状況です。農村部の学校の教師は、2020年には村に出向き生徒を少人数集めて教えることができましたが、2021年は生徒を集めることが制限され、生徒に電話をかけ学校に課題を取りに来てもらい個人で勉強してもらうほか方法がなくなりました。農村部の学校の校長によると、農村部の生徒にとってオンライン教育を受けることは難しく、長期の休校で勉強をあきらめて働かざるを得ない生徒も多くいるとのことです。

コロナは貧困を人々にもたらしただけではなく、子どもたちの教育にも深刻な影響を与えています。特に農村部の子どもたちが家庭の経済的な問題の中で学校に通えなくなり中途退学していくケースが増えています。このような子どもたちが学校に通えるように奨学金の支援が今とても必要となっています。

【学校への登校再開について】

プノンペンでは、公立・私立の中学校の再開が9月15日から許可され、感染リスクが高い制限区域内にある学校を除き、まずは中学3年生から学校に通い始めています。しかし感染者がひとたび確認されればすぐに休校になるため、不安定な状況が続いています。ダルニー奨学金の支援地域の学校は人口の少ない農村部に位置するため感染リスクは低いですが、こちらも中学3年生の登校が始まったばかりの状況です。

コロナによりたくさんの失業者が生まれ、貧しい家庭がさらに苦しい状況に置かれているカンボジア。学校は状況を確認しながら登校可能になってきています。子どもたちが経済的困難により教育を受ける機会を失うことがないように、ぜひこの機会に奨学金のご支援をご検討いただければ幸いです。

「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。

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