各国最新レポート:【Vol.4:タイ】コロナ禍での学習の課題

メコン5ヵ国の新型コロナウイルスの状況と、それに伴い変動している教育の状況について、5回のシリーズでお届けしています。

第4回目は、タイのコロナ禍における教育について最新情報をお届けします。状況は刻一刻と変わっていますので、あくまでも現時点での情報になりますが、支援されている奨学生がいらっしゃる方は想いを馳せながら読んでいただければと思います。

【コロナと教育の状況】

タイ国内のコロナの感染拡大は収まる気配がありません。8月上旬には感染者数が急増し、1日2万人を超える日もあり、現在も1日1万人を超える日がまだ続いています。総感染者数は172万人、死亡者数は17,751人に上っています(10月11日現在)。この状況下で、学校は生徒を通常通り登校させることができずにいます。また、2学期を11月1日に通常通り開始できるかどうかは政府が検討中です。多くの学校では感染拡大防止のために、オンライン授業を行ってきました。しかし農村地域など小規模な学校では授業の全てをオンラインで対応することができません。貧しい家庭には携帯電話やパソコンなどの機材やインターネット環境を準備するお金がないこと、保護者が誰か家にいて子どもの世話をする必要があることなどの問題があるからです。

タイの基礎教育委員会事務局はコロナ禍の授業について、以下4つの方法を提示しています。これにより、各学校がそれぞれの学校の状況や適性に沿った形を選ぶことができます。

1. オンライン
Zoom等のアプリを使用したオンライン授業。生配信の授業で、先生と子どもたちは双方向のやり取りが可能になります。機材、インターネット環境の準備や、保護者のサポートが必要となります。

2. オンエア(放送)
DLTVという教育チャンネルのウェブサイトやアプリ、YouTubeを利用した放送授業。

3. オンハンド(手渡し)
オンライン授業やウェブサイト閲覧ができない子どもたちに向け、子どもたちが理解できるレベルの練習問題のプリントを先生が作成し、子どもたちや保護者が何をすべきかを説明する手引き書と共に子どもたちの自宅に届けるか、子どもたちが学校まで受け取りに来ます。

                        

教諭が各家庭に渡しに行く、または生徒が学校に受け取りに来ます

4. オンサイト(現場)
最大限の感染防止対策管理下で通常通りの授業を学校で行います。特に必要性のある子どもたちに対して、少人数のグループに分けて授業を行う場合もあります。

首都バンコクの場合、パソコンや携帯電話などの機材もインターネット環境も整っており、オンライン授業を行えていますが、ダルニー奨学金の支援対象地域のタイの東北部では、パソコンや携帯電話、インターネット環境がない生徒が多いので、オンハンドで授業を行う学校が多いです。

地域によっては、地方自治体組織から機材の援助を受けることができる学校もあります。しかし、子どもに授業を受けさせるため、仕方なく借金して機材を購入する家庭もあると聞いています。全国一律で対応することは難しく、それぞれの地域で学校や生徒の状況を見つつ、ベストな方法を考えながら対応している状況です。

【先生からの最新レポート】

◆ブンカーン県 バーンノーンサワーン学校(小学校~高校) ウィチャヤナン先生

現在、学校は閉鎖中で2通りの授業をしています。幼稚園と小学校の子どもにはオンハンド、中学校、高校の生徒にはオンラインで授業をしています。オンハンド型では先生が日時を決めて子どもたちにプリントを配布するか、先生が家庭訪問をして、保護者がどうサポートすべきかを説明しながらプリントを渡します。保護者が教科の内容を理解できない場合は、頻繁に先生に電話をするか、近所でサポートができる人を探すことになります。オンライン型ではインターネット環境が不安定で授業が中断することがあります。オンライン授業への参加状況や授業後の質問が少ないことから、子どもたちが学習内容についていけず授業に飽きてしまう傾向があることが分かります。また、それ以前の問題で、携帯電話やパソコン、インターネット環境がない子どもたちはオンライン授業に出席できず、保護者が一緒に仕事をさせたりすることにより、学習に遅れが生じるケースがあります。学校側では個別に可能な方法で授業に出席させるようにしています。例えば、携帯電話やパソコンを持っている近所の子どもと一緒に学習してもらいます。子どもたちにとっては学校に通うことが最善です。友達に会いたいですし、友達と一緒に昼食を食べ、運動や他の活動を行うのは一日中家にいるより幸せを感じるからです。

◆コンケーン県 バーンドゥーヤイ学校(小学校~高校)ローンチット教諭

バンコクから地元に戻って来た人が多いため、地域の人への感染防止を考慮してオンライン授業を開始しました。学校は事前に準備したプリントを子どもたちに学校で配布し、オンライン授業で使用します。不安定なインターネット環境の他に、オンライン授業用の機材が足りない家庭もあります。また、インターネット料金の問題もあります。子どもが3人いて携帯電話が1台しかない場合、1番上の子どもがその携帯電話を使い、残りの子どもたちは近所に住む同学年の子どもと一緒に、ソーシャルディスタンスを保ちながら学習することになります。高齢者しかいない家庭で子どもに勉強を教えられない場合、学校が近所に住む年上の子どもに協力をお願いして面倒を見てもらっています。いずれにせよオンライン授業では教室での授業のような対応ができないので、子どもたちが学習についていけない心配があります。先生は自宅からオンライン授業を行い、一人一人の子どもの側で助けることができないため、子どもたちは自分のことは自分でする必要がありますし、保護者のサポートが必要となってきます。オンライン授業の準備で先生の仕事量は以前より増えています。また、子どもと保護者に現在のオンライン授業の課題を認識してもらうなど努力が必要です。子どもたちが教育を受け続けることができるように皆で心を一つにして協力し、この危機を乗り越え子どもたちが最も効果的に学習する方法を日々模索しています。

コロナ禍での学習の課題

・オンライン授業で使用する機材費(特に、感染拡大が原因で解雇や収入減に直面した家庭の子どもへの対応)
・インターネット料金
・先生の交通費(プリント配布や学習フォローのために子どもたちの家庭を訪問するための交通費)
・子どもたちのストレス(オンライン授業で学習についていけないストレスや、友達と会えなかったり年齢に応じた活動が一緒にできないストレス)

感染者数が1日1万人を超える厳しい状況の中にあるタイ。その状況の中で子どもたちにどのように教育を提供していけるかを模索しています。携帯電話やパソコンなどの機材やインターネット料金の支払いができずオンライン授業を受けさせることができない家庭をどのようにサポートしていくかなど、課題はたくさんあります。ぜひこの機会に奨学金のご支援をご検討いただければ幸いです。

「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。

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