「学校は楽しい。」 カンボジアでダルニー奨学金を受ける子どもたちの現状

カンボジアの政府機関である教育・青少年・スポ-ツ省は、小学生と中学生を対象に年間60ドル * を支給する奨学金制度を設けています。この制度は、カンボジアの学生たちに平等な教育機会を与えることを目的としていますが、財源不足で中学生の受給者数は全体の11.7% *と限られています。そのため、カンボジアにおける特に中学校の就学率(約52%) ** は低く、退学率は高い(約55%) **ままです。

子どもの教育を受ける権利は、環境に左右されることなく平等であるべきですが、カンボジアの地方の農村地帯は、経済的に恵まれない家庭が多く、親が教育を受けていないため、安定した職に就き、安定した収入を得ることが難しいのです。そのような家庭では、子どもたちは家計を支える労働力として期待され、支援がなければ学校に通うことができません。そして、支援がなければ、貧困の連鎖は次の世代へと続くのです。

「ダルニー奨学金」は、より貧しい子どもを選考し、提供いただいた資金を生徒の教育のために使うシステムがメコン5ヵ国で確立されています。カンボジアでは、その資金を物品にて支給します。中学校は義務教育で学費は基本的に無料ですが、制服や靴、カバン、ノート、ボールペン等の学用品は各自で用意しなりません。それが用意できず、就学を諦めざるを得ない子どもたちが大勢いるためです。また、支援対象地域の村には、銀行や、学用品や制服等を購入するお店がありません。現地事業所が、生徒にあったサイズの制服や靴、その他の学用品を購入して、奨学生に支給しています。毎年、カンボジアの新学期が始まる11月には、カンボジア各地で奨学生に学用品を支給する「奨学金授与式」が行われ、県職員、教師、生徒、保護者が一堂に会し、支援者への感謝の言葉を述べます。

今回紹介する「ダルニー奨学金」を受けている子どもたちは、その学年に在籍すべき年齢よりも高い場合があります。彼らは、貧困のため、出席日数が足りずに留年し、その間に年齢が上がってしまいましたが、今は学校に通い、皆、「学校は楽しい。」、「家族を支えたい。」と言い、将来の自分の姿を思い描きながら、一生懸命勉強を続けています。

コーエム スレイナン(11歳、中学校1年生)

カンポンチュナン県で暮らしているコーエム スレイナンさんは、将来は先生になりたいと考えています。スレイナムの家族は畑を持っていません。両親は学校へ行ったことがなく、住む村では仕事が見つからないので、別の村の農場で働きその収入は一日20,000リエル(日本円で約250円)です。その仕事もいつもあるわけではなく、収入は安定していません。兄と姉も生活を支えるため、学校を辞めて別の村で働いています。スレイナムさんは、ダルニー奨学金を受けることができ、中学校に通うことが出来ています。勉強も頑張っていて、成績はクラス48人中12位です。学校から帰ると弟や妹の面倒を見て家事も手伝い、休みの日は他の家から頼まれた仕事をこなし、家計を助けます。

 

 

チラン スレイラク(13歳、中学校2年生)

チラン スレイラクさんは、7人兄弟の末っ子で、上の兄や姉は経済的な余裕がなかったので、学校に通うことができませんでした。両親は、自分たちの畑を持っていないので、他の人の畑を手伝って収入を得ます。また、教育をほとんど受けていないので、日雇いの仕事は見つかりますが、定職に就くことが難しいです。バナナが採れたときは、焼きバナナを作ってマーケットで売りますが、その収入は一日5,000~10,000リエル(日本円で約62~124円)です。スレイラクさんは、学校から帰ると、焼きバナナづくりを手伝って家計の一部を支えます。「私は、支援を受けて中学校に通うことができて幸せです。いつか、人の役に立つ仕事に就いて、家族を支えたい。」と話します。

 

 

ラス ソパンナ(15歳、小学校6年生)

ラス ソパンナさんの両親は、彼女が幼い頃に亡くなって今は祖母と2人暮らしです。祖母には自分の畑がなく、定職にも就けないので、川で魚を捕ってそれを売り、他人の畑を耕させてもらって生計を立てています。祖母は、ソパンナさんが5歳の時に、村長に彼女を孤児院で預かってくれるように頼みましたが、ソパンナさんがあまりに泣き叫んで祖母の腕を離さなかったので、やはり彼女には自分が必要だと思いなおし、彼女の面倒を見ることに決めました。経済的に余裕がなかったので、何度か学校に通えない期間もありましたが、現在15歳のソパンナさんはやっと小学校6年生になりました。祖母は「支援を受けてこの11月から中学校に行けることが決まって本当に嬉しい。彼女には学校の先生になってほしい。」と言います。ソパンナは「勉強が大好きです。学校を続けて、休みの日には村で仕事を探して祖母を支えたい。」と話します。

 

ソム エイ(15歳、中学校1年生)

ソム エイ君は、4人兄弟の末っ子で15歳ですが、まだ中学校1年生です。小学校の頃、経済的に恵まれず、学校に行けない期間があり、年齢が上がってしまったのです。両親は、彼が小さい頃に亡くなり、家が貧しかったので上の兄と姉は早々に学校を辞めて働き、下の兄は僧侶になりました。エイ君は、現在、74歳の祖父と73歳の祖母の3人で暮らしています。小さな畑で野菜を作り、それを売って生計を立てていますが、祖母は目が悪く充分に働くことができません。 祖父は、エイ君には高校を卒業してほしいと願っています。そうすれば、彼の「先生になる」という夢に一歩近づけるからです。エイ君は、休みの日には、祖父と一緒に森に行ってゴムの木の伐採を手伝って家計を助けます。その収入は月に40,000リエル(日本円で約500円)です。

 

 

プロム ペイン(13歳、小学校6年生)

プロム ペイン君は、小学校6年生、2020年11月からダルニー奨学金をもらって中学校に通う予定です。学校では、算数が得意で、将来は算数の先生になりたいと思っています。ペイン君は3人兄弟の末っ子で、上の2人は学校に通っていません。父は数年前に亡くなり、母親が女手一つで3人の兄弟を育ててきました。母は、自分の畑がないので、他人の畑を耕させてもらって収入を得ますが、農作業の仕事がない時は、近所で衣類の洗濯や皿洗いをして1日15,000リエル(日本円で約187円)の収入を得ます。その仕事も毎日あるわけではありません。「私には教育がないので、出来る仕事も少ないです。なので、貧しい生活から抜け出すことができません。ペイン君には、なんとか勉強を続けて私よりも、良い生活を送ってほしいのです。」と話します。

 

紹介した子どもたちは、両親を亡くしたり、親が自分の畑を持たない小作人であるなどの理由で経済的に恵まれず、教育を受けることが困難な状況にあります。今は、支援を受けて学校に通うことが約束されていますが、その支援がなくなれば、教育を受けることができず、貧困の連鎖は彼らの子どもの代まで続くのです。奨学金を通じた教育支援は、貧困の連鎖を断つ最も有効な手段です。

<引用資料>
* Country-led Evaluation of the National Education Scholarship Programmes
https://www.unicef.org/cambodia/reports/country-led-evaluation-national-education-scholarship-programmes
** Public Education Statistics and Indicators(www.moeys.gov.kh/index.php/en/emis/3069)

「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。
1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。

カンボジアの締切は7月20日です。

 

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