村の将来の自立に向けて、生徒たちが学校単位で地域の技術や資源の活用を学んでいます。
それらをサポートし、学校が自立して事業を実施できるような支援を行うプロジェクトです。
【OSOPとは】
OSOPとは、One School One Projectの略称です。
タイ東北地方は「イサーン」とよばれ、貧困の代名詞となっています。家族を含めると同地方の人口の7割が農業に従事しているといわれていますが、雨水だよりの農業で、しかも土地がやせているため現金収入が少なく、都会に出稼ぎに出る人も少なくありません。
民際センターのタイ事務局(EDF-Thai)のデータでは、2001年~2005年にダルニー奨学金を申し込んだ奨学生のうち、少なくとも5人に1人は両親が2人とも出稼ぎに出ていました。
家族がバラバラで、しかも経済的に貧しい家庭の子どもは食べるものも貧弱になります。十分に食べるものがない生徒は、体力の低下はもちろん、学校で勉強に集中できず、成績も低下していきます。
政府の統計では、栄養不良の生徒数が多いワースト10県のうち、タイ東北地方は7~9県を占めています(タイ全土で76県)。
こうした状況を踏まえて、民際センターでは2004年より、村の将来の自立に向けて、生徒たちが学校単位で地域の技術や資源の活用を学び、それをサポートし、学校が独立で事業を実施できるような支援を行うプロジェクト「OSOP」を開始しました。
【プロジェクトの特徴】
①地域の資源や伝統的な技術を利用したモノづくりを学びます
学校が学習センターとなって、生徒が専門家や地元の農家から地域の資源や伝統的な技術を利用したモノづくり(※)を学びます。
それが長期的には彼らの将来の経済的自立につながり、後々、地域の過疎化を押しとどめ、さらに地域の発展に貢献することにつながります。
※野菜や果物の有機農業栽培、養豚、魚やカエルなどの養殖、果物を使ったジュースづくりと販売、象の糞を活用した紙作り、バナナの茎を使った機織り、テーブルなどコンクリートを使った製品づくりなど。
②学校で無料の昼食を提供し、健康増進を図ります
OSOPで作った農産物を利用したり、販売をしたりして、学校で無料の昼食を提供し、健康増進を図ります。
それが結果として、生徒の就学率の向上や中退率を減少させ、さらに学習効果を上げることにつながります。
③責任感やコミュニケーション能力の向上を図ります
共同作業を通じて、仕事に対する責任感やコミュニケーション能力の向上を図ります。
学校によっては、プロジェクト内で作った生産物の販売により得た収入の一部で学用品等を購入して、生徒の家庭の教育費を軽減したり、さらに学校教師の事業運営スキルの向上を図ります。