【タイ】洪水奨学金5000キャンペーン:タイ洪水によって学校へ通えない子ども -ティラワット君の場合-

タイ洪水奨学金5000キャンペーン

 

ティラワット・ドクマイ君は、シーサケット県にあるバーン・ノンブア・チャイワーン小学校の6年生(12歳)の男の子です。

彼は、他の貧困家庭の児童同様、2012年度に中学校に進学するため、ダルニー奨学金を申請しています。

そして、彼は2011年に起きた大洪水の被害を受けたひとりでもあります。

しかし、彼の受けた被害は、他の被災者とは少し違うかもしれません。というのも、シーサケット県の彼の家は全く洪水の被害を受けていないのです。

 

ティラワット・ドクマイ君

 

ティラワットは祖母と暮らしています。歳の近い彼のいとこ4人も一緒に暮らしています。

以前、祖母は機織りで収入を得ていましたが、今は高齢になり、視力も落ちてしまったので、機織りをできなくなってしまいました。

今、一家のたった一つの収入は、ティラワットの養父と母親からの仕送りだけです。

ティラワットの養父と母親は、パトムタニ県(日系企業が多く進出する工業団地がある)へ日雇い労働者として働きに行っています。

毎月の仕送りは、仕事量によって多い時も少ない時もあり一定していませんが、祖母の高齢者手当の500バーツと合わせても、ひと月当り2,000バーツを超えることはありません。

 

ティラワット君と祖母

 

ティラワットの母親と実の父親は彼がまだもの心のつかないうちに離婚しています。

その後、母親は再婚し、10年以上前から日雇い労働者としてパトムタニ県ラムルッカー郡にある工場に働きに行っています。

ティラワットの先生が、私たちにティラワット君について語ってくれました。

「内向的でおとなしい子どもです。多分、小さい時から両親のぬくもりを知らずに育ったからでしょう。
でも、彼自身も中学校に入り勉強を続けたいと思っています。将来、良い仕事について、年老いた祖母を養う収入を得たいからだそうです。」

 

2011年10月、養父と母親が働いている工場が浸水し、工場は休業せざるを得ませんでした。

そのため、現在、この一家6人は祖母の高齢者手当500バーツだけで暮らしています。

私たちは、ティラワットに話を聞くことができました。

「洪水で会社が休業しているので、父(養父)と母は父が生まれたナコンラチャシーマー県の親戚の家に仮住まいしています。
水が引いて会社(工場)が再開する連絡を待っているんです。洪水が起きた後、父と母は全く仕送りをしてくれなくなりました。
僕は今回の洪水は本当に悲しいです。もし、洪水がなかったなら、父と母も仕事があって、僕たちが学校へ行けるようにお金を送ってくれたと思うから。」

 

また、私たちは、ティラワットの養父のサノーングさんにも話を聞くことができました、彼は、次のように語ってくれました。

「私とティラワットの母親は、家屋や工場の補強工事を請け負っています。
パトムタニ県ラムルッカー郡にある会社の一つでパイプの取り付け工事をして、もう10年になります。

賃金は、最初は月給制でしたが、最近になって報酬の見直しがあり、出来高制になりました。
仕事がある時は収入がありますが、仕事がない時は収入がありませんので、経済的にとても不安定になりました。
時々、収入を得るために、タクシーの運転手をして働きます。
しかし、車を所有していないため、タクシーを借りなければならず、その収入からタクシーのレンタル料を支払うとわずかしか残りません。

ラムルッカー郡が洪水に見舞われてから、会社もひどく浸水しました。倉庫が一階建てなので、全て浸水してしまいました。
そして、従業員は何カ月も休職させられています。私たちもいつ戻って働けるようになるのか分からない状態にあります。
また、私たちが正社員でないために、他の人が受けている洪水被害者に対する福利厚生も受けることができない状況にあります。」

 

今、彼はティラワットをとても心配しています。

「実の子供でないといっても、小さい時から面倒を見てきましたからね・・・。
彼には教育を受けて、自分や母親のように日雇い労働をしてその日暮らしをするような生活をしなくてもいいようにしてやりたいと思っています。」

 

このティラワット君の話は、今回の洪水が引き起こした問題の一例として、現状をよく反映しているのではないでしょうか。

地方の貧困家庭には、バンコクやその近郊へ出稼ぎに来ている人たちも多く、彼らも洪水の被害に遭っています。

当然、洪水になった地域に働きに来ている出稼ぎ労働者は被災者です。

しかし、被災者は彼らだけではなく、地方に残した彼らの子どもや家族もまた間接的な被災者になってしまっているのです。

家族の大黒柱が失業し、一家の収入が途絶えたためです。

 

今回の洪水で、こういった子どもたちの将来に悪影響を及ぼすことは否定できないでしょう。

子どもたちの教育には、制服代、教科書代、通学費用に加え、十分な栄養、つまり十分な食費も必要です。

それらの資金があってこそ、子どもたちは勉学に励み、夢をかなえることができるのですから。

 

寄付ボタン

民際センター編集部
「公益財団法人民際センター」は日本生まれの国際協力教育NGOです。世界の子どもたちが中学校に通えるよう教育支援をしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です