民際センタースタッフ 冨田直樹のカンボジア出張報告③ ~親に捨てられた奨学生~

東京・八王子市立遣水中学校は、学校の校庭で開かれる地域のイベントで募金を呼びかけたりしてカンボジアの中学生を支援しています。

たまたま出張前に、2学期の終業式で、その中学生キート・リカについて全校生徒に話してほしいとの依頼を受けたので、今回の出張中、彼女に会いに行きました。

中2のリカは5人きょうだいの末っ子。お兄さんとお姉さんが2人ずついます。

小さい時にお母さんが死んでしまい、その後、お父さんは再婚。そのため、祖母やお母さんのきょうだいがリカやきょうだいを別々に引き取りました。

どの家庭も1人が精一杯だったからです。子どもたちは、お父さんに捨てられたと言ってよいかもしれません。

 

リカさん

<左から3番目がリカ。おばさん(右端)とその娘たち>

 

長兄(21歳):中2で中退。現在、首都のプノンペンで働いています。
長女(19歳):小3で中退。別のおばさんの家で暮し、仕事や家事を手伝っています。
次兄(17歳):昨年、中学校を卒業しました(その後はわかりません)。
次姉(16歳):中3。プノンペンの中学校に通っています。

 

一番上のお兄さんが必死に働いて、中学校に通っている2人の妹にわずかながら仕送りをしています(昨年、中学校を卒業した弟にも仕送りをしていました)。

リカを引き取ったおばさん夫妻にも子どもが6人います。6人のうち4人は結婚して家を出、残る2人は縫製工場で働いています。

半ヘクタールの田んぼがあり、2人は田植えの農作業をしていますが、家族が食べる半年分のお米しか取れません。

家の裏にサトウキビを植えて、その収穫による臨時収入がほんの少しあり、また、縫製工場で働く2人の娘が月に合計で50ドル仕送りしてくれます(縫製工場の労働者の月給は約100ドルです)。

 

出張報告①で、自由時間に一番したいこと何かを尋ねた際、「取れたワカメの仕分け」と答えたのはリカです。

週末や夏休みに朝から晩まで働いて日給約180円。

おばさん宅に居候しているため、食い扶持を稼ぐために自分も必死に働かなくちゃ、と思っていて、その恩返しができるので「ワカメの仕分けが一番したいこと」なのかもしれません。

リカに鑓水中学校のことを伝えました。鑓水中学校の職員室前の廊下にリカの写真と証書が掲示されています。

 

もう一人の奨学生は奨学金ではなく自転車を提供してもらった中1のヴェアスナです。

 

ヴェアスナさん

<右からヴェアスナ、おばあさん、妹。「笑って、笑って」と言ったのですが・・・>

 

彼の家は田んぼの真ん中にぽつんと一軒あり、田んぼのあぜ道?を5分くらい歩きます。

 

木の切り株

<あぜ道の入り口に木の切り株があり、2~3 cm のトゲがたくさん出ていた>

 

壁のないあばら小屋で、71歳のおばあさんと小6の妹と3人で暮しています。

最初にヴェアスナとおばあさんが出てきて、その後でおばあさんが大きな声で何度も妹を呼んだのですが、なかなか出てきませんでした(単に恥ずかしがり屋なのか、それとも家族の貧困状態を外国の訪問客に見られることに気後れしているのか・・・。私たちがいる間、彼女はずっと下を向いていました)。

ヴェアスナは4人きょうだいで2人のお姉さんがいます。父親は精神障害を患っていて、母親は再婚して家を出てしまいました。

それで、おばあさんの家で生活しています。

2人のお姉さんは縫製工場で働いていますが、長姉は父親に仕送りするだけで精一杯。次姉がわずかな金額をこの家族に送っています。

 

畑を所有しておらず、また、おばあさんは体調がすぐれないため農繁期に仕事を得ることができず、次姉のわずかな仕送りが収入のすべてで、「食べ物はほとんどすべて近隣から恵んでもらっています」。

今回、家庭訪問をした生徒の中でヴェアスナが一番悲しげな顔をしていましたが、それは、こうした極貧の家庭事情によるからでしょうか。

 

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自転車

<右は提供された自転車。左は以前に使っていた自転車>

 

カンボジアだけではなく、ラオスやタイの農村地帯でも、離婚はめずらしくありません。

特に若くして結婚した両親ほど、家庭に問題が生じると、まだ小さい子どもを親やおじさん・おばさんに預けて再婚したり、家を出てしまったりする傾向が見られるようです。

 

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民際センター編集部
「公益財団法人民際センター」は日本生まれの国際協力教育NGOです。世界の子どもたちが中学校に通えるよう教育支援をしています。

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