民際センタースタッフ 冨田直樹のカンボジア出張報告② ~校長先生のうそ~

今回、3県で5つの中学校を訪問しました。

どの中学校の職員室にも、ここ数年の各学年の生徒数が書かれた表が掲示されていました。

 

ドロップアウト・留年率

 

最初の2つの中学校で校長先生にドロップアウト・留年率を尋ねると、どちらも「5%ぐらいです」との答えでした。

ところが掲示されている表を見ると、とても5%どころではありませんでした。

 

下表は2番目に訪ねた中学校の表ですが、例えば、2010年に入学した中1は138名ですが、中2になった生徒は107名、中3は65名で半分以下に減っています。

 

2010年入学データ

 

校長先生に「この数字を見る限り、とても5%どころではありませんよ」と言うと、2校の校長先生ともに下を向いて黙ってしまいました。

外国から来た教育支援のNGOに、教育の現状について事実を言ってはいけない縛りのようなものがあるのでしょうか・・・。

時間が限られていたので、最初の1校を除く4つの学校では6~25名以上の奨学生を集めて、一度に彼らの話を聞きました。

 

カンボジア事務局長のチャンディ

<一番奥が私、左隣が通訳をしてくれたカンボジア事務局長のチャンディ、手前が校長先生>

 

奨学生たち

 

興味深かったのは「自由時間に何をすることが一番好き?」という質問に対する答えでした。

2番目の学校で6名の奨学生が集まった際、その答えは「英語の補習授業」4名、「読書」1名、「取ってきたワカメを仕分ける仕事」1名でした。

さらに別の学校では、集まった24名のうち「読書」8名、「英語の補習授業」7名、「牛の世話」3名、「しかけて魚を捕ること」2名、「なわとび」2名、「テレビ」1名、「ゲーム」1名でした。

 

一番好きなことが英語の補修授業?! 通訳が間違ったかなと思い、「何をしなければならないか、という質問ではなく、自由時間に何を一番したいか、という質問ですよ」と念を押して再度尋ねてもらうと、回答は同じした。

「自由時間に友達がサッカーや縄跳びをして遊ぼうと誘いに来ても断って、読書や勉強をするの?」と重ねて質問すると首を縦にふって「はい」。

 

もちろん、家事や田植えなどをした上で、勉強や読書をします。

休日や夏休みは朝から晩まで田植えなどをして、お金を稼ぐ子はひと夏で25ドル稼ぎ、「全額、お母さんにあげる」そうです。

テレビと答えた生徒にどんなテレビを見るのか尋ねたら「ニュース」。

都会(プノンペンなど)で起こっていることに興味関心があるとのことでした。

そういえば、国道沿いの食堂で朝食を食べているとき、キッチンの横にある居間で大人が音楽番組を見ていて、そこへ子どもが入ってきてチャンネルをニュースに切り替えたシーンを偶然見ました。

 

さらに別の学校では、小学校低学年程度の身長しかない中2の生徒が2人いたので、私と一緒に写真を撮りました。

 

奨学生

 

私の身長が161センチですから、この2人の背丈がいかに低いか想像がつくと思います(遺伝もあるでしょうが、栄養が足りないことと重いものを運ぶ家事をしていることも原因ではないでしょうか)。

手前の女の子は集まりで一番手前の席に座っていて、最後に「何か質問がありますか?」と尋ねると、すっと手を上げて「奨学金がなければ高校に行けません。

高校でも奨学金をください」と真剣な眼差しで質問しました。

残念ながら、「カンボジアでは現在、まだ高校の奨学金はありません。ごめんなさい」と答えざるを得ませんでした。。。

 

学校で奨学生に会うと、彼らは悲しそうな顔をしているわけではないし(むしろ目がきらきらしている)、きちんとした制服を着ているので、彼らがどのくらい貧しいのか想像ができません。やはり家を訪問しなければ、彼らの生活は見えてきません。

次回はもう一度、自宅を訪問した奨学生を紹介します。

 

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民際センター編集部
「公益財団法人民際センター」は日本生まれの国際協力教育NGOです。世界の子どもたちが中学校に通えるよう教育支援をしています。

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