理事長の挨拶

理事長 秋尾晃正

 

はじめに

1987年の創設時に「教育支援を通し、貧困削減と平和構築に貢献する」という目的を設定し、ダルニー奨学金を開始しています。

団体名は、日本では「民際」と、タイでは「EDF」と命名しました。

 

何故、奨学金なのか

人間として生を受け得る時、運命として国や親を選べません。

たとえ最貧国に生まれても経済的な貧困家庭に生まれ育っても、人間として等しく教育を受ける権利があると私は確信しています。

それゆえに、1987年に民間の運動として国際教育里親制度を創設し、本日に至っております。

 

■ 民際の思い

日本の団体名である「民際」には、ある特別な思いが込められています。

国が国を支援する「国際」支援ではなく、民と民との親交こそが平和の基礎であり、平和構築に貢献すると確信しているためです。

“民の力により教育支援を通じて世界の貧困問題と平和構築を目指し、民と民の結びつきによる支援を広く普及したい”

との思いから「民際」と名付けました。

 

EDFの思い

私達の使命は、奨学金を提供するだけの奨学金財団ではありません。

海外事業所の団体名
EDF(Education For Development Foundation 地域開発教育基金)

に象徴されるように、教育を受けた次世代の若者が“貧困削減に向けて自分たちの村の発展の担い手に育ってもらいたい、その社会の発展に貢献してもらいたい”という願望が込められています。

 

NGOの創設者としての心構え

個人と社会

個々人が奨学金を提供し、一人の中学生を支援する”個人と個人を繋げる”奨学金制度です。奨学金提供者は支援する生徒個人の幸せを願い、教育支援をします。

しかし、奨学金数が多数になると、その施策によっては社会全体を変える要因になります。

故に、組織として、知識、認識、見識が必要であり、変化、変容、変革の歴史観が問われることになります。

 

知識・認識・見識

受益国ではなく、支援国である民際センターにとって、「知識」は教養と情報です。

先進事例を多く引出しに持つことを大切にし、支援対象地域の歴史的観点や社会学的観点から現状・実情を把握します。

どの先進事例が最適かを「認識」し、どのような改善が最適かの「見識」を持って現地スタッフ等と相談します。

そして、事業を実施していくことを心がけてきました。

 

奨学金制度は古今東西、世界の多数の団体が実施しています。

しかし、ダルニー奨学金制度は、他に事例を見ないほどユニークで費用対効果のある奨学金制度と言えるでしょう。

 

変化、変容、変革

教育分野支援であるが故に、支援対象国の教育省、県教育委員会、郡教育委員会の行政機関と連携し、各学校と協働して事業を実施しています。

しかし、受益国から見ると民際センターは当該国の政府機関でも当該国の組織でもなく、外国の組織、および、日本の民間組織になります。

それ故にどのような施策を取るべきか、どのようにすれば効果的か熟慮し、施策を決定しなければなりません。

ましてや、欧米の団体のように巨額な予算規模ではなく、宗教背景もない日本生まれの一団体として、です。

 

まず、「変化」を構築する必要があります。次年度は、その事例を複数実施していきます。

数年かけて事業が特殊なものでなくなれば、そこに「変化」が生じます。

当該国の政府は、良いものであれば条例等を考えて制度として確立しようとします。

確立できれば、それは「変革」であり、当該国の政府自身が法律や規則を制度化し、予算を確立します。

私達の使命は、“変化を構築し、変化を加速させ、当該国が自分たちでその制度を確立すること”にあるのです。

 

民際は、思想家であり、運動家であり、事業家であり続けたい。

国際協力交響楽団の音楽会に例えれば、私は著名な指揮者でもなく、才能のあるピアニストやバイオリニストの楽団員でもありません。プロデューサです。

どんな音楽を、どこの会場で、誰に聞いてもらいたいかを考え、且つ採算ベースにのせます。

「素晴らしかった」「また聞きたい」という感動を与える仕事です。

故に、社会運動の担い手であり、思想家・運動家・事業家という三要素が重要となります。

 

思想家とは

第一に、「教育支援を通し、貧困削減と平和構築に貢献する」という考え方
第二に、民の力で、民と民の支援と交流を促進する考え方
第三に、税金である補助金に頼らず、民力を主体とした活動を推進する考え方

 

運動家とは

この考え方の普及・促進することで、より多くの方々の賛同を得て魅力ある豊かな社会の形成を目指し、運動を拡充し続けること。

 

事業家とは

どんなに素晴らしい思想・理念・願望があっても、採算に見合う経営をし、その運動の維持継続・拡充する事業家的要素が必要

 

支援・援助のあり方

(1) 魚を与えるよりか、竿を提供し、魚の獲り方を教える

教育の支援には“教育の普及、教育環境の整備、教育内容の充実”という三本の柱があります。

奨学金を提供して教育を普及させ、学校施設(校舎、図書館等)の整備を行い、教員養成等で教育内容の充実を図っていきます。

 

(2) 自立の促進を支援する

個人の自立の促進のために、奨学金があります。

多くの方がこの運動に参加することで社会に教育を受けた人材が蓄積され、産業がおこり、雇用が生じ、社会の貧困削減の実現が可能になります。

それが社会全体の自立への道であり、最終的には支援がなくてもよい社会の形成につながります。

教育を支援することこそが、自立精神の形成に欠かせない効果のある有効な支援手段であるのです。

 

 

理事長の挨拶

公益財団法人 民際センター

理事長 秋尾晃正