
典型的なラオス南部の学校
当センターが教育支援事業を展開しているラオス南部のカムアン県・セコーン県。この2県には1152ケ所の村が散在しています。このうち小学校がある村は628ケ村。この学校の多くは壁、床の無い簡易校舎で、雨が降れば雨もりがし、激しいスコールは校舎崩壊の危機を迎えます。さらに小学校最終学年の5年生までの教育を提供できる学校は、両県あわせてわずか199校しかありません。残りの429校は小学校2,3年までの教育しか提供できない分校です。学年が進むにつれ、生徒はより遠い村にある本校に通わねばならなくなります。この通学の難しさが両県の子どもの80−90%が小学校を卒業できないという現状を生んでいます。
当センターの対象地域であるセーコーン県及びカムアン県の状況については、下表からもわかるように、ビエンチャンと比較し、学校数の割に教室、教師、児童数がかなり少なく、卒業する児童の割合が低くなっています。
ビエンチャン県とセーコーン県及びカムアン県の小学校に関するデータ比較
| |
学校数 |
教室数 |
教師人数 |
総児童数 |
平均卒業率 |
| ビエンチャン
| 428 |
2,734 |
2,803 |
92,551 |
50% |
| セコン |
63 |
198 |
148 |
5,555 |
10% |
| カムアン
| 450 |
1,571 |
1,200 |
40,189 |
20% |
|

竹の校舎で学ぶ子どもたち
義務教育である小学校教育(5年制)の機会さえも十分に与えられない児童の現状を改善するためにまず必要なことは、彼らが学ぶ学校校舎の建設であり、しかも学びやすい環境にすることです。現在、様々な国の諸団体による学校建設事業が実施されていますが、ラオス政府の標準規格で建てられる校舎は欧米で設計されたため、窓が小さく、通風・採光が限定されているため、残念ながら電気が無く照明/冷房施設のない熱帯の暑熱の環境には適していません。また、せっかく建てても、建築後のメンテナンスが行われない例が多く、自力で補修がままならないため数年で劣化していく校舎も数多く見られます。
上記の問題を改善するため、次ぎのような方針で、小学校建設支援事業を行なっています。
- ラオスの将来を担う子ども達が気持ち良く学べる空間であること
- ラオスの建築事情と、気候、風土等、環境条件に配慮すること
- 耐久性があり補修可能で永く使用できること。また村人が建設補修に参加でき、自力で補修できること
- 一校でも多く学校を建設するため適正な工事費、グレードであること
- 建築技術あるいは建築に対する考え方の発展に貢献できること
上記の基本方針に従い、ボランティアとして参加してくださった日本の著名な建築家の方が現地を数次にわたり調査の上、以下の考え方を盛り込んだ設計を行なってくださいました。
- 壁のレンガ積みはモルタル上塗りせず素材を生かす
- 壁は少なく、窓を多くする
- 通風が良ければ天井を省略できる
- 高窓で通風、採光を強化しつつ、長い屋根で直射日光をさえぎる。
村人が建設補修に参加でき、自力で補修できるように、壁用ブロックにインターロッキングブロックを採用しました。これは現地の赤土に少量のセメントを混ぜ、圧縮したものでレンガ色に仕上がりますが焼く工程がありませんので燃料確保のための森林破壊を招かずに、現地で安価に生産できます。
さらに壁用ブロックと屋根材の生産指導を実施します。日本からも建築専門家を派遣し、現地にて建設全般の指導を行ないます。この結果、村の人々が長年にわたり校舎を維持管理していくことができます。村人は学校への補修作業を通して、学校に愛着と誇りを持ち、教育の重要性を認識していくことになります。
(建築ボランティア:聖路加タワー、新宿NSビル、JR東本社ビル等を手がけた建築家加藤隆久氏、日本の厳格な基準を担い、数々の構造計算を手がけた構造設計家松本年史氏等が手弁当で参加されています)