カンボジア奨学金を支援する東京・八王子市立鑓水中学校校長先生に聞く。

なぜ、中学校で国際協力を行うのか?なぜ、ダルニー奨学金なのか?

 

八王子市立鑓水中学校

 

今年度からカンボジアの奨学生を支援する

東京・八王子市立鑓水(やりみず)中学校の阿部信一郎校長先生

に聞きました。(聞き手:民際センター 冨田)

 

Q.鑓水中学校はJICAやNGOの職員、海外留学生らを呼んで、しばしば発展途上国についての講演を行っていますね。

A.本校は特色ある学校づくりの一環として、「国際理解教育」のテーマで八王子市の研究指定校として研究活動を行っています

現在は2~3ヶ月に1回の割合で国際協力の分野で活躍する方々、海外からの留学生、留学経験のある大学生を招へいして講演をお願いしています。

 

Q.なぜ、国際理解教育のテーマを設定したのですか?

A.世界には、どのような経済力を持つ家庭に生まれたかで自分の人生が決定づけられてしまう、「生まれながらの不平等」が当たり前になっている国が少なくありません。日本は努力さえすれば自分の人生を切り開くチャンスのある国です。

しかし、生徒たちは自分がいかに恵まれた環境にいるのかを知らずにいます。

そこで、海外、特に発展途上国からの留学生やその現場で活動されているNGOの方に来て話をしてもらい、生徒たちがいかに恵まれた環境にいるかをまず認識してもらいたいと思っています。

 

Q.留学生やNGOスタッフの話にそのような力がありますか?

A.2年前、講師に呼んだ中国の内モンゴル自治区からの留学生の女性は、バイクで2時間半掛かるお店が1軒あるかないかのような奥地に住んでいました。

馬頭琴専門の音楽学校で大変優秀な成績だったのがきっかけとなり、非常に運良く日本に留学が決まりました。

しかし、日本に来る旅費だけでも内モンゴルの人にとっては想像を絶する金額です。

現在、日本の大学で経営学を勉強している彼女は、文字通り、「万里の波濤を乗り越えて」日本に学びに来たわけですが、その意気込みや内なるパワーには圧倒されます

ほとんど叶うことのない夢であっても強い意志さえあれば、また、あきらめず努力を続けていけば、必ず夢は、実現すると言うことを、生徒たちは彼女の存在に直接触れて、感じたことと思います。

彼女が幼い日、羊の放牧をしながらふと見上げた中国大陸の空の果て。「その先には、一体何があるのだろう?」

様々な壁を乗り越えて、更に高い目標をもって学んでいる彼女から生徒たちは自ら向上しようとする意欲を感じることができたのではないかと思います。

 

Q.ダルニー奨学金を支援することで、学校にどんなメリットがあるのでしょうか?

A.どの学校にも日常の営みがあります。授業を受けて、昼食を食べて、グランドで運動して・・・。

しかし、これだけでは、「あの学校に学べて良かった」という意義を生徒は持ちにくいと思います。

ヒドゥンカリキュラム(隠れたカリキュラム)という人もいますが、この自分の学校に来たからには、他の学校では学べなかったことが学べたといえる裏の教育課程、オリジナリティを創るのが校長の役目だと思っています。

先生も生徒も前任者や先輩達がやっていたからなんとなく自分たちもやるというマンネリではなく、自らの頭で考えて殻をやぶって、新しいことに挑戦する姿勢で取り組む教育課程が必要です。

世界は「違い」に満ちています。「違い」を「違い」として認める人間的成長のないところにいじめ問題も発生してきます。

本校の生徒たちはすでに2回、民際センターの冨田さんの講演を聴き、日本と東南アジアとでは教育事情にこんなにも大きな「違い」があることを学びました。多くの感想文に、誰もが学校で学べる機会のある日本のすばらしさが記されていました。自国文化の再確認と学習意欲の喚起が見られたと思います。

また、ダルニー募金は、募金したら終わりではなく、どんな子を支援しているのか、支援している国がどんな状態なのかを生徒たちが更に学べるシステムになっています。

支援を通じて、日本と対象国の「違い」を理解し、繰り返しになりますが、自分たちの恵まれた環境をまず認識する

そして、努力すれば人生を切り開ける日本という国で学校に通っているのだから、今のこの時間を大切にして、人生を切り開いていってほしい

今後は、時間はかかりますが、地域や他校とも連携して支援活動を盛り上げていきたいと思います。

 

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民際センター編集部
「公益財団法人民際センター」は日本生まれの国際協力教育NGOです。世界の子どもたちが中学校に通えるよう教育支援をしています。

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