民際センターの政策

~特徴や他団体との相違を踏まえて~

 

海外に関してのポリシー・ダイレクション

海外事業所の政策

(A) 海外事業所の陣容は全て現地スタッフの政策

通常、日本企業のみならず世界の企業の海外事業所は本社から派遣された経営者が管理運営することが多いです。

同様に、日本のNGOのみならず世界のNGOの多くは本国から最高責任者を派遣し、経営の任にあたらせ、当該国の職員は本部から派遣された責任者の経営下で働きます。

 

しかし、民際の海外事業所の経営陣からスタッフまですべて当該国の人材で運営する施策を設立当初から実施し、現在も将来もその施策を維持継続しています。

自分の国をよく知り、自分たちの社会をより良くしたいという人々が、それぞれの国々の担い手です。

海外事業所の経営陣自体に自立心がなければ、当該国はいつまでも精神的に受益国になってしまうでしょう。

 

(B) EDFグループとEDF-Internationalの政策

1987年の創設以来、一貫して創設者の現理事長が海外事業所も含め統括していますが、今後を見据えてEDFが一つのグループとして機能する必要があります。

現在、日本とタイと米国事務所は、国内法に基づき財団法人の法人格を取得ており、且つ、税制優遇団体です。

法的には、別団体で各組織は理事会が最終議決機関です。

財団法人格等の法律が整備されていない国であるベトナム、ラオス、カンボジアでは、国際NGOとして当該国の政府の認可を受けております。

ミャンマーは、未だ任意団体です。

 

EDF-Internationalはタイ政府に登録した組織ですが、各国の実務を担当する最高責任者が理事の構成員です。

各国の実務担当最高責任者で構成されるEDF-Internationalの理事会がグループの最高議決機関と位置付けております。

ある国で、政府機関や望ましくない人材から圧力がかかり、当該国の実務担当者が当該国の影響力の圧力に抵抗できなく初期の目的が遂行できない場合でも、EDF-Internationalの理事であり、EDF-International の最高議決機関の議決に従わなければならない制度です。

よって、そのような圧力に対応できる機能をEDF-Internationalは有しております。

 

同じ宗教に属するとか各国の経営者が同国人とか、何かを共有したものがないと、往々にして多くの国々に組織が拡大した団体が、一つの組織として機能しなくなる事例が多くみられます。故に、EDF-Internationalの存在は長期的観点から大きな使命を持っています。

 

各国の教育行政との協働政策

基礎教育はどこの国でも国の責務です。日本ではNGO(非政府組織)であり、文部科学省や県教委及び日本の教育に市民団体が大きな影響を及ぼすことがほぼ不可能ですが、各国では公教育分野での事業を推進するため、温度差はありますが中央官庁である教育省の初等・中等局等と連携して事業を推進しております。

事業規模が小さい国でも、県の教育委員会や郡教育委員会等と協働作業を行っています。

 

ダルニー奨学金に関しては、各学校に一人奨学金担当教師がおり、実務をおこなっております。

今後とも、その他の事業、また、新規事業等に関しても各国の公教育の分野で支援を実施するので、各国の教育行政とは連携・協働作業を維持継続する必要があります。

教育予算の少ない国では、教育省の教育計画等、行政側とすり合わせを行い、当該国での費用対効果を最大限に向上させる施策取っており、今後ともその施策を継続していきます。

 

中学生を対象とした奨学金政策

(A) 何故、基礎教育の小学生ではないのか?

  1. 小学校は往々にして各村に一校にあり、歩いて通学ができる環境にある場合が多いためです。
  2. 現金を稼ぐ担い手の年齢層ではなく、親孝行のため家事労働には従事しますが、家庭が貧しいから学校に行けないという事由より両親の無知などが一番大きな理由と言えるからです。
  3. 奨学金の支給より、啓蒙活動が未通学の児童解決の課題となっているためです。

 

(B) 何故、中学生を対象とするのか?

  1. 現金を稼げる年齢層のため、貧困家庭では親孝行のために学業を断念し、出稼ぎに行く社会風潮があります。奨学金を提供することで、親を説得して中学進学、中途退学を阻止できるためです。
  2. 中学校の学区域は複数の村に一校あり、通学費・昼食費等教育費がかさみます。国によっては、たとえ義務教育でも公には授業料は無料ですが、先生による放課後のクラスに授業料を支払う場合が多いです。これが払えず、中学進学を諦めるケースが見られます。
  3. 中学生対象の奨学金制度は少なく、中学卒業後の職業訓練や高校や大学の奨学金受給の可能性が開けるからです。
  4. 中学生は子供から大人になる年齢層であり、中学校の先生の奨学生に対する指導等が人生に大きな役割を果たすからです。

 

各学校の奨学金担当官の設定政策

欧米の宗教色のある、また、予算規模の大きい多くの奨学金財団・国際協力団体は、独自の選考制度で生徒や学生ないし家庭に直接提供しますが、民際は予算規模が小さいため、教育省系列の行政機構を有効利用する施策を採用しています。

各学校の奨学金担当者は小学校教師の推奨や奨学生の家庭事情を把握し、担任の教師等と相談し、選考をしなければなりません。

また、奨学生の中途退学を避けるため、家庭訪問をして様々な生徒指導をする役目を担っています。

 

これらの奨学金担当者教師がいなければ、奨学金制度は成り立たないほど重要な役割を担っているのです。

この教師とのネットワークは、これからより需要性を増すでしょう。

よって、今後とも、各学校の奨学金担当者と密な連絡網を構築し続ける政策を、維持継続、充実化を図ってまいります。

 

南南協力の推進政策

(※南南協力とは、開発における途上国間の協力のことをいいます)

タイの教育の実情は、この30年で飛躍的な変革をとげたと言えます。

タイの教育改革は近隣諸国へ非常に役立つと思われますが、往々にして、日本含む欧米先進国の事例を学び、導入しようとする傾向があります。

しかしながら、日本含む先進国は予算を計上して先進国の事例導入を試みるものの、失敗例が多すぎます。

先進国でなく、タイの事例を学んだ方がより効果的でしょう。

EDFグループ内でも、タイの経営陣が近隣諸国を支援する体制を整え、実践しています。今後とも、近隣諸国にタイの指導ができる体制を維持継続していきます。

 

国内に関してのポリシー・ダイレクション

補助金・助成金への姿勢と寄付社会の形成

(A) 補助金への姿勢

政府機関が提供する現状のNGOへの補助金は、基本的には申請しません。

政府機関の補助金は税金であり、政府機関がその決定権を握っているのが由縁だからです。

(B) 助成金への姿勢

助成金は民間財団等からの事業に対する助成であり、これに関しては今後機会があれば申請していきます。

(C) 寄付社会の形成

私達の目指すものは、寄付や事業収入で組織が運営されることです。

透明性や効率性に基づいて事業が運営され、多くの方の賛同を得なければ、組織の発展や維持継続が困難です。

常に、切磋琢磨、努力を積み上げることが肝心です。

よって、多くの方々の参加できる体制の整備に努力し、最終的に世界から日本商品は品質が良いという評価を得たように、日本人は世界の経済的に貧しい若者の教育支援をする人たちという評価が得られるように努力をします。

 

インターネットの時代 交流の促進の方向性

受益国の人々は、Made In JAPANの日本製品を周知しています。「品質がとても素晴らしい」というのが一般的な庶民の評価であり、共通の感覚でしょう。

支援対象地域の人々は、特に学校を通してダルニー奨学金に関しては良く知られています。

「困難な状況にあり、かわいそうな児童が奨学金を得て中学に進学できるようになった」と、先生から聞かされているからです。

これにより、日本製品だけではなく、日本人への評価も上がります。

 

しかし、庶民(村人や農民など)の多くが日本人に会う経験がありません。

今はインターネットの時代です。

インターネットの主流デバイスになりつつあるスマートフォンは、支援対象国にも急速な勢いで普及しており、贅沢品でなく日常の生活必需品になっています。

農民は穀物の市場価格を知り、仲買人の言い値から市場価格で交渉することが可能になり、貧困削減へ貢献しています。

 

また、教育現場でのスマートフォン普及が加速度的に早まっています。

インターネットへのアクセスが可能となった現代では、もちろん言葉の壁はありますが、中学生になると英語を理解できるようになるので、支援する奨学生とインターネットを介した交流を積極的に行っていくことを推奨します。

小さな一歩ですが、協力から交流へ歩を進めることが平和構築への道でもあるでしょう。

 

今までの30年の歴史とこれからの30年の方向性

日本は、法人格の取得に関して、1896年(明治29年)に制定された民法34条で、「主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」と定めており、2008年(平成20年)の公益法人制度改革3法が施行されるまで主務官庁の許可制でした。

阪神淡路地震のボランティア活動の影響もあり、1998年(平成10年)12月に施行された特定非営利活動法人(通称:NPO法)があります。

 

民際は2008年の法律に基づき、一般財団に登録しています。その後、2014年に税制優遇措置のある公益財団法人の認定を受けています。

活動を開始してから法人格取得までには21年もの歳月がかかり、税制優遇措置取得まで27年の歳月がかかっています。

一方、タイでは、活動開始3年経過すれば実績が認められ、財団法人化が可能になります。1991年に国内法に基づき、財団化しています。

財団化後3ケ月で税制優遇措置の申請資格得られ、すぐ申請、認可を受けることが可能です。日本より23年も早く願望が叶ったことになります。

 

日本は国際的に世界貢献しなければなりませんが、政府の代わりに国民がNGOを通して世界の教育を支援し、地球上の貧困削減を実現することができれば、日本にも広い意味で貢献できます。

これから先の30年、NGOを通した世界の教育支援が日本人の心の目標となることを期待しています。