奨学金提供者から寄付していただいた奨学金の内、為替レートの変動により余剰が生じた場合(円高)の差額分をもとに、タイ事務局( EDF)が東北地方の中学校に資金を提供する2004年度の助成事業の一つである「スクール・グラント・プロジェクト」(2004年3月〜2005年3月)についてご報告します。
1校につき最高100,000バーツ(1バーツ=約3円)まで助成しましたが、事業を行った8校(下表)はいずれも当初の目的を達成したようです。事業の第一の目的は臨時収入を得ることではなく、あくまでも地域の資源を活用して地域の活性化を図るという長期的な目的を見据えた上で、子どもたちが地域の大人からモノづくりを学ぶということでした。EDFが作成した報告書の中から2校の取り組みを紹介します。
(1) 機織の伝統がすたれていく中、タイ東北地方のウボンラーチャターニー県のノンクンウィッタヤコム中学校はその重要性を認識し、中学校1年生からその技術を教えていました。そして、機織を習いたい生徒の増加に応じて機織の機械を増やし、地域の女性専門グループを講師として招へいして技術の向上を図りたいと考え、EDFの助成事業に応募しました。助成を受けた同校は早速10台の機織機を追加購入し、地元の専門グループを講師として招き、新たに70名以上の生徒に機織の技術を教えました。第1四半期で早くも作品の展示会を開き、スカーフなどの製品をお土産として販売。第2四半期では新しいデザインを学ぶために、他の専門グループの仕事場に視察に出かけ、第3四半期には上級コースの設置や、県の展示会に作品を出品。販売収入は同校に通う生徒の奨学金等に振り分けました。同校は2年目も
EDFから助成金を受けることが決定しました。
(2) 県の助成と指導の下、生徒に豚の飼育技術を学ばせていたシーサケット県のプームサロウィッタヤ中学校は、県の助成金カットで資金不足に陥り、その補てんのため EDF の助成を申請しました。同校では、養豚用の豚と野豚をかけあわせた「雑種豚」を 7 匹購入しました。地元でも味が評判で、子豚は 1 匹 1,000 バーツで売れます。1年目に 10 匹の子豚を生ませ、その販売で得たお金の一部を資金に 10,000 匹の小魚を購入し、学校の横にある池で養魚を始めました。
えさは豚小屋から出る残飯です(販売収入の一部は、学校での給食にも使いました)。残飯は、畑の有機肥料としても使われています。また、豚を借りて家で飼育し、子豚を生ませる生徒もいます。この場合、最初の子豚は学校に返しますが、その後に生まれた子豚は条件次第で生徒の家のものとなります。生徒たちは、豚と魚を育てる技術を学ぶことで、収入を得る道を学ぶとともに、リサイクルによる環境改善や有機農業の実践方法を学んでいます。同校も継続して EDF から助成を受けることが決まりました。